2026.09.08

遅れてやって来た「全身性強皮症」|診断までの経緯と私に現れた症状

遅れてやって来た「全身性強皮症」|診断までの経緯と私に現れた症状

19歳でSLE(全身性エリテマトーデス)を発症してから数年。

大きな再燃や入院もなく。
「このままSLEとうまく付き合っていけるかな」と思い始めていたころ…
今度は指や腕にこれまでとは違う異変が現れました。

指がパンパンにむくんで、うまく曲げられない。
グーやチョキの形が作れない。

次第に腕までむくむようになり。
検査をした結果、新たについた病名が「全身性強皮症」でした。

強そうな名前だ。

病名を聞いたときの最初の感想は、たしかそんな感じだったと思います。

ここでは、SLEの合併で全身性強皮症を併発した私が、最初に感じた異変から診断されるまでの経緯。
実際に現れた症状、その後の経過についてお話しします。

同じ病気でも症状や経過は人それぞれです。
「こんなケースもあるんだな」と、ひとつの体験談として読んでもらえたらうれしいです。

このブログをお読みいただく前に
このブログでは、私自身が経験した症状や治療について書いています。同じ病気でも、症状や治療方法は人それぞれです。あくまでひとつの体験談としてお読みいただき、治療やお薬については主治医・専門医にご相談ください。

そもそも全身性強皮症とは?

全身性強皮症は、SLEと同じく膠原病のひとつです。

全身性強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる「線維化」や、血管の障害などを特徴とする病気です。原因はまだ十分にはわかっておらず、症状や経過にも個人差があります。

……と説明されても、初めて聞いたときはよくわかりませんでした。

「皮膚や内臓がだんだん硬くなる病気」

ざっくり説明を聞いてそう解釈した私の感想は、

「なんかのデバフにでもかかったような病気だな」

でした(ゲーム好きの思考)。

▼ 全身性強皮症について詳しくはこちら
難病情報センター|全身性強皮症(指定難病51)

全身性強皮症と診断されるまで

過去を振り返るため、少し時系列が曖昧な点もありますが…。
どうやって診断まで至ったかを記録します。

最初の異変は、指のひどいむくみ

全身性強皮症と診断されるきっかけになったのは、指のひどいむくみでした。

最初は「SLEの症状かな?」くらいに思っていたのです。
しかしだんだんむくみが強くなり…
ひどいときには手の甲のしわがほとんど見えなくなるほどパンパンに。

次第に指も動かしにくくなっていきました。

両手とも薬指と小指以外はしっかり曲げられなくなり、グーができない状態に。
特に人差し指は、第二関節から90度くらい曲げるのが限界でした。

画像1

当時の画像のため、画質が少し荒いですが。

手前が私、奥が同年代の友人の手です。
比べてみると、私の関節部分がかなりパンパンなのがわかります。

だいぶ無理をしてピースしているので、指が突っ張って色も少し変わっています。

さらに、むくみは指だけでは終わりません。
だんだん腕にも広がり、肘から下がパンパンに。
赤紫っぽい色になることも増えていきました。

当時の私はまだ、これが別の病気のサインだとは思っていません。

SLEではそれまでにもいろいろな症状を経験していたので
「またSLEが何かやってるのかな」くらいに考えていました。

でも、主治医にこの症状を相談したところ
どうやらそう単純な話ではなかったようです。

「強皮症かもしれない」と言われ、またしても皮膚生検へ

指や腕のむくみが続き、定期の診察で症状を相談。
主治医から「強皮症の可能性がある」と言われました。

そして、詳しく調べるために行うことになったのが皮膚生検です。

また出ましたよ、皮膚生検!

SLEと診断されたときも皮膚生検をした私。

「なんで毎回、病名を確定するために切らなきゃならんのだ、私の体は……」
今度は、右手首から肘に向かって5cmほどのところから皮膚を採取することになりました。

SLEのときは顔だったので、それに比べれば今回は傷を隠せる場所。

しかも先生がきれいに処置してくれたおかげで、今ではどこを切ったのかわからないくらい傷跡も残っていません。

そして皮膚生検などの検査を経て、ついた診断が「全身性強皮症」でした。

ちょこっと解説|「強皮症」には種類があります

「強皮症」と呼ばれる病気は、大きく「全身性強皮症」と「限局性強皮症」に分けられます。

全身性強皮症
皮膚だけでなく、肺や消化管などの内臓にも病変が現れることがある病気です。皮膚硬化の範囲などによって、さらに「びまん皮膚硬化型」と「限局皮膚硬化型」に分類されます。

限局性強皮症
皮膚の一部に硬化が現れる病気です。名前は似ていますが、全身性強皮症とは異なる病気として扱われます。

私が診断されたのは、前者の「全身性強皮症」です。

私に現れた全身性強皮症の症状

全身性強皮症は、皮膚や血管、内臓などさまざまな場所に症状が現れる病気です。
ただし、すべての人に同じ症状が出るわけではありません。

私の場合は、先ほどお話しした指や腕のむくみをはじめ、いくつかの症状が現れました。

  • 指の潰瘍
  • 爪上皮出血点
  • 口まわりのしわ・唇の変化
  • 腕や指のむくみ
  • 肺のすりガラス状の影
  • 逆流性食道炎

※上記は私自身に現れた症状です。全身性強皮症の症状や程度には個人差があります。

また、私はこれに加えて「レイノー現象」もあります。
ただ、これはSLEの症状としても出たため、別記事で詳しく説明します。

指の潰瘍

強皮症になってから特につらかったのが、指先にできる潰瘍でした。

私にできたのは「皮膚がぐちゃっとえぐれたようになって、なかなか治らない傷」です。

嫌な表現ですね。
自分でもどう言えば正解かはわかりません。

一時期は右手のほとんどの指にできていて、足のかかとにできたこともあります。

特に指先は日常生活で何をするにも使う場所。
物を持ったり、何かに触れたりするたびに痛むので…
小さな傷に見えてもなかなか厄介でした。

また、その傷をカバーするために指に薬を塗ってガーゼを置いてテーピング。
これを1日に何回も交換するのが精神的にしんどかったです。

ちなみに。
落ち着いた今でも指先には当時の傷跡が残っています。

爪上皮出血点

もうひとつ、「爪上皮出血点」です。
簡単にいうと、爪の根元の甘皮あたりにできる小さな黒い点々。

※症状のイメージを伝えるために作成した参考画像です。実際の私の症状写真ではありません。

自分では、実際にできていてもそれほど気にしていませんでした。
診察では先生がよく爪の根元をチェックしていました。

「先生、爪めっちゃ見るな」と思っていたのですが。
これも全身性強皮症で、よくみられる所見のひとつだったようです。

口まわりの変化

強皮症の症状は、手や指だけではありませんでした。

私の場合は、唇のまわりに細かいしわが目立つように。
さらに唇がかなり薄くなりました。

自分の顔は毎日見ているので、最初はそこまで気にしていなかったのですが。
昔の写真と比べてみると「あれ、やっぱり違うな」と感じます。

現在も唇の薄さは回復しないままですが、生活に困るほどの症状はありません。

腕や指のむくみ

そして、診断のきっかけにもなった腕と指のひどいむくみ
それまでつけてた時計の穴が合わなくなるほど。

また、諸事情でこの頃に結婚指輪を買ったためサイズは旦那とほぼ変わらず。(むくみにより)
私の中では一番見た目にもわかりやすく、生活への影響も大きかった症状だったと思います。

肺に見つかった「すりガラス状の影」

内臓にも、気になる変化がありました。

CT検査で、肺の一部にすりガラス状のもやもやとした影が見つかっています。
ただ、私自身には息苦しさなどの自覚症状は一切ありませんでした。

当時、主治医からは間質性肺炎との関連が考えられるという説明が。

間質性肺炎(かんしつせいはいえん)とは、肺の中で酸素と二酸化炭素のガス交換を行う場所(肺胞)の壁「間質(かんしつ)」に炎症や線維化(硬くなること)が起き、呼吸がしづらくなる病気の総称です。

特に全身性強皮症は、症状が進行していくタイプの。
そのため、現在も定期的にCTや肺機能検査を受けながら経過を見ています。

ただ、幸いなことに当時から10年以上たった今も大きな病変は起きていません。

▼ 間質性肺炎について詳しくはこちら
難病情報センター|特発性間質性肺炎(指定難病85)

自覚症状がほとんどなかった逆流性食道炎

もうひとつ見つかったのが、逆流性食道炎です。

こちらも私の場合は症状がかなり軽く。
「胸やけがひどくて病院へ行った」というわけではありません。

気になっていたのは、食後に痰が絡みやすくなることくらい。

たまたま持病とは別のところで胃カメラを受けた際に逆流性食道炎を指摘され。
主治医に報告したところ「それも強皮症の症状のひとつかもしれないよ」と言われました。

全身性強皮症と診断されてからの治療と経過

全身性強皮症と診断され、「また新しい病気の治療が始まるのか……」と思っていた私。

ところが、私の場合は強皮症と診断されたからといって、治療が大きく変わったわけではありませんでした。
すでにSLEの治療を続けていたこともあり、基本的にはそれまでの治療を継続。
強皮症の症状や内臓の状態により、基本は経過観察していくことに。

強皮症のために新しい治療が始まったわけではなかった

「全身性強皮症」という新しい病名が追加されましたが…
私の場合、診断されたからといって治療がガラッと変わったわけではありません。

すでにSLEの治療でステロイドや免疫抑制剤などを服用中。
そのため、基本的には薬も大きく変わりませんでした。

ただ、腕や指のむくみが特にひどかった時期には、ステロイドを一時的増量したことはありました。

当時、主治医から言われたのが。
「もともとSLEの治療でステロイドや免疫抑制剤を使っていたことが、強皮症の症状にも作用していたのかもしれない」ということ。

それを聞いた私は、「おぉぉぉ……SLEさん、ありがとう……」ってなるかい!

そもそもSLEが原因で合併してるし。
ほんと自己免疫疾患って厄介。仲間呼ぶな。

今振り返っても、そんな気持ちです。

むくみや潰瘍は少しずつ落ち着いていった

診断されたころは、「このままどんどん悪くなっていくのかな」という不安もありました。

特にネットで強皮症について調べると…

  • 顔の皮膚が硬くなって表情がなくなる
  • 口が開きにくくなって物が食べにくい
  • 肺などの内臓に症状が現れ日常生活が困難

怖い情報が次々と出てきます。

SLEについてようやく自分なりの付き合い方がわかってきたところだったので。
また新しい病気と一から付き合わなければならなことはやはりショックでした。

ただ、私の場合はその後、強皮症自体は症状が少しずつ落ち着いていきました。

腕のむくみや潰瘍は1年ほど、指のむくみは3年ほどかけて徐々に改善。
以前はほとんど曲げられなかった人差し指も動くように。
今ではほぼ普通にグーができます。

そして、むくみが一番ひどかったころに買った結婚指輪。
今では腕を軽く振るとすっぽ抜けそうなくらい、ゆるゆるです。

現在も定期的な検査を続けています

症状が落ち着いたとはいえ、全身性強皮症との付き合いが終わったわけではありません。
現在も定期的な通院に加えて、年に1回、CTや肺機能検査、胃カメラを受けています。

特に肺には引き続きすりガラス状の影があるため、CTや肺機能検査で変化がないかを確認。
逆流性食道炎についても、胃カメラで定期的に状態を見てもらっています。

また、以前は診察の際に、腕や手、足、頬などを触って皮膚の硬さを先生が確認。
部位ごとにスコアをつける検査も受けていました。

ただ現在は全身を細かくチェックするスコア評価は終了。
定期診察では主治医が指などを触診で軽く確認しています。

それでも、「症状が落ち着いている=もう何も気にしなくていい」ではありません。
これからも内臓の変化などに気をつけながら、定期的な検査を続けていく予定です。

強皮症とも、ぼちぼち付き合っていきます

現在の治療のメインはSELですが、奥底にはまだまだ強皮症も身を潜めています。
そのため、強皮症も共存する厄介な隣人のおひとりです。

幸い強皮症に関して大きな病変や後遺症などはないものの。
医療先進国の日本で、早くこうした難病がひとつでも完治に近づくような技術が出てくるといいなと。

そんなことを考えつつ、今日も私は、強皮症と一緒に暮らしています。

筆者:よめこ

タグ

#全身性強皮症

このカテゴリの新着記事